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山崎山遺跡の鍛冶工房内鍛冶炉付近からソロバン玉を小さくしたような直径数ミリほどの小さな玉が出土した。滑石製と思われるもので、臼玉(うすだま)と呼ばれる首飾りの一部である。これを連結して一重、または二重に首に巻きつけたものと考えられる。また、鍛冶工房のすぐ近くの住居跡(ベッド状遺構)からは碧玉製の五センチほどの大きな管玉が出土している。やはりこれも首飾りの一部であろう。

1-48 臼玉
(山崎山遺跡出土)

 ところで碧玉は、出雲国(島根県)の特産品でもあり、別名出雲石とも呼ばれている。国指定史跡の出雲玉造遺跡では三〇か所あまりの古墳時代前期から平安時代に至る工房跡が確認されている。山崎山遺跡の管玉もおそらく出雲の産と思われる。また、これとほぼ同じ大きさで、同時代の管玉が、桶川市熊野神社古墳から勾玉(まがたま)、臼玉、銅製品、土製品に混じって多数出土しており、国の重要文化財に指定されている。

1-49 管玉
(山崎山遺跡出土)

 古墳から出土している埴輪には、こうした玉類を首にめぐらした人物像が多数知られており、巫女(みこ)や貴人像のほとんどには首飾りが見られる。山崎山遺跡の碧玉製の管玉は古墳の副葬品として出土することが一般的であることから、非常に貴重品であり首長クラスの人の装飾品と考えられる。