朝顔形埴輪とは、円筒埴輪の上に壷形土器を乗せている形を少しデザイン化して表現したものである。壷の胴のように肩が丸くなっていて、上部は壷の口縁部のように大きくラッパ状に開く形になっている。古墳の円筒埴輪列の中で五~一〇本に一本くらいの割合で規則的に並べられることが多い。
姫宮神社古墳群の朝顔形埴輪は、行田市埼玉古墳群の稲荷山古墳で出土している円筒埴輪・朝顔形埴輪と同じような、白っぽい焼きの埴輪で、円筒部は三条の凸帯をもつ四段構成に復元された。壷口縁部相当の最上部は破片がほとんど残っていなかったため、やや大きく復元されているかもしれないが、高さ五五~六五センチ、円筒部の径約一五センチという大型のもので、復元のとおりなら全長五〇メートル級の前方後円墳に並べられるサイズである。出土状態から考えると円筒埴輪棺という埴輪を組合せて造った墓の施設に使用された埴輪の一部かもしれない。この埴輪を製作・供給したのはどこのだれなのか分からないが、焼きの特徴から埼玉古墳群にかなり近い位置で作られ、川筋を利用して下流の姫宮神社古墳群まで運ばれた可能性が考えられる。
また、過去に採集された埴輪片は凸帯の突出度はあまり高くないが、作りがしっかりしているものが多く、オレンジ色に近い焼きのものが多い。鴻巣市生出塚(おいねづか)埴輪窯跡群の製品が含まれているのではないかと思われる。
これらの埴輪から、姫宮神社古墳群は六世紀前半~中葉に造られたと考えられる。
1-59 姫宮神社古墳出土の朝顔形埴輪