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川がもたらす文化

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古代エジプトは、年に一度のナイル川の氾濫がもたらす肥沃な土によって豊かな農作物に恵まれたという。このため、古代ギリシャの歴史学者ヘロドトスが、「エジプトはナイルのたまもの」という言葉でこれを表現したことは、あまりにも広く知られているところである。そして原始~古代の宮代町域における人々の生活や、その政治的・経済的な位置付けもまた、先に述べたとおり、東に武蔵国と下総国との国境であった旧利根川(古利根川)・旧隅田川(中川)水系(以下、旧利根川水系と呼ぶ)を、また西に旧荒川(荒川・元荒川・綾瀬川)水系(以下、旧荒川水系と呼ぶ)を備えるという立地条件を抜きには考えることができないと言えるだろう。そしてこれらの河川は、おそらく私たちの想像以上に氾濫を繰り返し、度々その流路を変えていたものと思われるが、当時の宮代町域に暮らしていた人々は、これらの河川とどのように向き合っていたのだろうか。具体的に見てみよう。