天保十年三月二十二日から四月六日までの秩父札所参詣の様子が「所々参詣中手控」(岩崎家文書)に記録されている。三月二十二日に出発し、鷲宮から加須町へ至り、不動尊を参拝し、羽生町を経て妻沼の三浦屋へ泊まっている。翌二十三日は妻沼から本庄、新町、倉賀野を経て、高崎に宿泊している。二十四日は高崎を出発し、白岩観音を参拝し、小沢を経て伊香保に宿泊している。二十五日は伊香保を出発し、榛名山から三ノ倉へ至り、宿泊している。二十六日は三ノ倉から、松井田から、妙義山へ至り、上野一ノ宮を参拝し、富岡で宿泊している。二十七日には富岡から吉井、鬼石を経て目的である秩父札所参拝の最初の寺院である三四番に宿泊している。札所を廻る順番は、番号の大きい寺院から順番に廻っている。二十八日は三四番札所を出発し、三三番、三二番、三一番を参詣し、贄川(にえがわ)に宿泊している。二十九日は贄川から三峯山に入り、宿泊している。四月一日は三峯山から大日向山に至り、その後三〇番、二九番、二八番、二七番を参詣し、二六番札所に宿泊している。二日は二六番、二五番を巡り、二四番に宿泊している。翌三日から四日にかけて残りの二三か所の札所を回り、一番に宿泊している。五日は松山に泊まり、六日に吉見を経て、帰着している。