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社寺の行事

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農民の生活の中で、日常の生産活動に伴い繰(く)り返し行われる普段の労働に対して、祭りは大きな楽しみであった。村々の鎮守(ちんじゅ)で春には五穀豊饒(ごこくほうじょう)を祈願する春祭りが、夏には疫病(えきびょう)や病虫害などを払うための夏祭りが、秋には豊かな恵みに感謝する秋祭りが行われる。
 村々の鎮守や寺院では、春祭り、秋祭りを中心にさまざまな祭りが行われる。中でも五社神社(ごしゃじんじゃ)の二月十四日の「厄年の女人の豆投げ」、姫宮神社(ひめみやじんじゃ)の七月の祭礼、東粂原鷲宮神社(ひがしくめはらわしのみやじんじゃ)の十月の甘酒祭り、和戸宿(わどじゅく)の六月三十日のウラ浅間(せんげん)、西光院(さいこういん)の四月二十一日のミイク(御影供)は近在にも著名(ちょめい)である。これらの多くは江戸時代には行われていたものと思われるが、具体的な祭礼の記録は残念ながら残されていない。ここではいくつかの断片的な資料により近世期の祭礼の一端についてふれてみたい。