4-54 南埼玉郡内産業組合一覧表
大正二年南埼玉郡に農事督励(とくれい)委員制度が設けられ、郡内の各町村を巡視し農業技術の指導や病害虫の予防駆除を行ったが、警察官とともに巡視するものであり、県が奨励している短冊苗代を実施しない者は摘発し改作させたり、村内の風紀などについても指導した。裸で農作業をすることを禁じていたので、委員と警察官の姿を見るとあわてて野良着を着たといわれている。大正四年埼玉県は米穀検査規則を定め、県内八か所に検査所を置き、係官四一五人を配置した。南埼玉郡内には八か所の移出米検査員出張所と四二か所の生産米検査員派出所が町村ごとに設置された。この検査の実施に当たり地主が小作人に対して奨励米を支給することをやめる決議をしている。このため検査にかかる労力や経費負担が直接小作人に押し付けられる形となり、小作人の負担は大きくなり、小作料値下げ運動が発生してくるようになった。