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おわりに

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 平成元年度から始まりました町史編さん事業もいよいよ終盤となり、ここに「宮代町史 民俗編」を刊行する運びとなりました。
 思い起こせば、この一五年間という月日のなかでは、実に多くの町民の皆様にご指導、ご協力を賜りながら町史の編さん事業を進めてまいりました。既刊の資料集や通史編のほとんどが書物や石、金属などに文字として残されている歴史のまとめであるのに対して、「民俗」とは基本的に人々の口から口ヘと伝えられたものをまとめたものです。民俗の調査に際し、語りべが少なくなっていく現状に、調査の緊急性を痛感することも多くありました。
 民俗は、民衆の間に伝えられ行われている習慣、習俗であり、人々の生の暮らしの姿であるといえます。人は生まれてから多くの行事を体験し、生業を持ち、多くの人々との交わり、そして神仏にさまざまな願いを託し、一生を過ごす。そうした毎日の生活では、さまざまな楽しみや苦しみ、喜び、悲しみがあったことと思われます。そういった思いの一つひとつがさまざまな民俗行事や道具の随所に現れているのではないでしょうか。また、感ぜられてなりません。民俗編はまさに人々の生活史であり、民衆史であると言えるでしょう。
 このような意味からも、本書が永く先人達の歴史や文化を伝え、皆様にご活用いただけることを願ってやみません。
 おわりに、お忙しい中を快く調査にご協力いただき、貴重な情報をお寄せくださった多くの町民の皆様に心からの感謝を申し上げますとともに、丹念な調査を行い、本書をまとめてくださいました町史編集委員の板垣時夫氏、調査員の関孝夫氏、宮本八惠子氏、中村啓子氏に深い感謝と敬意を表します。