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農耕用の馬・牛

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 以前は、代掻きや田うない、畑うないをのために、農家で馬や牛を飼っていた。田うないや畑うないといった作業を「馬耕」というように、本来は馬で行うのが基本である。特に耕地面積の多い家では、牛では動く速さが遅いので、馬を飼育していた。しかし、馬は金額も高いので、耕地面積の少ない家では、牛で「馬耕」を行うことも多かった。しかし、「馬も千里、牛も千里」といい、馬は仕事が速く、牛は持久力があるのでどちらが良いともいえない。むしろ、柔らかくてもぐるような田では牛の方がよかったという。
 こうした馬や牛を使った農作業は、昭和三〇年代に入ると農作業に耕うん機が導入されて、馬や牛の飼育は行わなくなっていく。姫宮のある家では、昭和二八年ごろに耕うん機を購入した。周辺では比較的早い方であった。当時陸田が流行し、陸田は地面が固くて牛で田起こしできないため、購入したという。その後、耕うん機は数年でほぼ全戸に普及した。

2-4 牛車(中村氏所蔵)


2-5 昭和38年ごろの耕うん機(青木氏所蔵)