町内で基幹用水路としては、笠原沼代用水がある。これは笠原沼の開発に伴って享保一三年に開削された用水路である。菖蒲町で星川(見沼代用水)に設けられた中島圦から分水し、久喜市除堀で黒沼代用水と笠原沼代用水に分かれている。笠原沼代用水は、さらに町内西粂原で南側用水と北側用水に分かれる。北側は中須用水といわれ、東粂原、須賀、百間、宮東と流れて姫宮落に合流する。一方、南側は、爪田ケ谷、百間を流れて春日部市内牧に流れている。この中で、西原で内郷用水に分水し、西原、姫宮を通って姫宮神社北部で笠原沼落に合流している。
このほか、戦後整備された用水路もある。南部用水は、南部用水組合が管理し昭和二五年に設置された用水路で、受益面積は四二ヘクタール、東耕地用水は、東耕地用水組合が管理し昭和四二年に設置された用水路で、受益面積五八ヘクタールである。特に南部用水は、用水路の設置によって、金原付近で行われていた摘田による稲作を解消することができたという。
主として昭和二〇年代末から昭和三〇年代前半になると、各地で河川から水を汲み上げるための揚水機が設置されている。受益面積は用水路に比べて少ないが、畑の陸田化を図るために必要な整備であった。昭和二八年には、須賀島畑地灌漑(かんがい)組合によって須賀島揚水機、宮代第一台地改良区によって宮代第一揚水機、昭和二九年には、内野陸田組合によって内野揚水機、松の木島陸田組合によって松の木島揚水機、国納陸田組合によって国納揚水機、昭和三〇年には須賀畑地灌漑組合によって須賀揚水機、昭和三一年には辰新田陸田組合によって辰新田揚水機、昭和三三年には百間第二陸田組合によって百間揚水機、昭和三四年には若宮第一陸田組合によって若宮第一揚水機、昭和三五年には上河原陸田組合により上河原揚水機がそれぞれ設置されている。
悪水といわれる排水路としては、古利根川、備前堀川、備前前堀、姫宮落川、隼人堀川などがある。