田植えの後、田に生える草の除草を行う。この除草のことをタコスリという。二、三回は行うもので、一回を一番ごすり・一番ずり、二回目を二番ごすり・二番ずりなどといった。
除草には、以前はカメノコとかタコスリと呼ばれる農具を使い、田の中を擦るようにして除草を行っていたが、その後、ハッタンゴスリなどといわれる除草機が出てきたので、これを使用するようになった。ただし、畝間はこうした道具を使うことができたが、株間は道具を入れられないので、手で行うしかなかったという。また、一番ごすりの後、素手で株の周りの土を取って除草することをカッパナシといい、独立した作業と考える家もあった。
東粂原のある家では、田植えをしてから一〇日ほど過ぎた七月上旬に、最初の田こすりである一番ごすりを行っていた。その後、一番ごすりから一〇日くらいで二回目の田こすりである二番ごすりを行う。この二回の作業は、カメノコや除草機を使って行う作業で、このほか一番ごすりの直後には、素手でカッパナシを行い、また、二番ごすりの直後に二番草といって草取りを行った。また、七月下旬には三番草といって三回目の草取りを行うとされるが、二番草まではよくやっておくと、三番草までやらなくても済むものという。
東のある家では、田の除草のことをタコスリといい、一番ずり、二番ずりといって二回以上は行った。田の除草は、二回取ればよいといい、三回取れば米が丸くなるといった。これは、よく草取りをすると米が太るという意味である。タコスリという道具を使って、畝間を擦って除草する。後に、除草機が出てくるが、これを利用すると深くまでできた。株間の除草は手で行うしかなかった。また、炎天下の作業なので、茗荷の茎を腰に挿して、背中に日が当たらないようにしたという。
摘田の田の除草は、田の草取りなどといい、草を取る手で土の中に突っ込み、足のかかとで踏みしめた。反対に、水がないと鎌でとるようで、大変であった。
また、畑に播く稲である陸稲は、水が張ってある水田に比べて草が生えやすく、除草も大変であった。特に盆が終わるころに生えるアキグサを除草しないと、翌年の畑に大きな影響が出る。「一年こぼすと三年たたる」といった。