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稲刈り

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 稲刈りは、以前は一〇月一〇日ごろから一一月中旬ごろに行われた。早稲が九月初めに出穂し、四〇日ほどして稲刈りとなる。一〇月一九日のオヒマチが稲刈りを始める目安にもなっていた。稲刈りを終わった後の田に、小麦を播くことがある。この場合、一一月二〇日の恵比寿講に小麦を播くのでは遅いとされるため、これ以前に稲刈りは終了している必要もあった。なお、陸稲は、これに先立ち九月末の彼岸ごろに稲刈りを行っていた。
 稲刈りは、裸足で田に入り、鎌を使って一株ずつ刈り取って行う。東のある家では、刈った一握りの稲を、五束で一まとまりにして、これを二つ×(ばつ)状に置いていく。作業が一段落すると、これを縛ってハンデンに掛ける。束を縛る作業は女が行い、稲束を掛けるハンデンは男が作って掛けていった。
 摘田の田での稲刈りは、水が残っているので、稲穂がなるべく汚れないように稲株の上に置くようにするが、作業は変らない。特に船(田舟)の上に収穫するなどといったこともなかった。また、裸足のまま田に入ると、腰まで埋まってしまう湿田もあったので、こうした場合は木枠を組んで板を張って作ったカンジキを履いて作業した。
 ハンデンに掛けた稲の束が乾くと、家で脱穀・調整を行うため、ハンデンから下ろして家に運ぶ。この作業を稲揚げといった。稲揚げをするときには、ハンデンに掛かっている束を一六束で一束の大束とした。麦よりも少し多く束にできる。大束はユツラで縛った。

2-7 ハンデン作り


2-8 ハンデンにかけられた稲束