小林氏は昭和三〇年代初期に、農閑期には東京へ働きに行っていた。このころ、偶然『農業雑誌』に掲載されていた巨峰の記事を読み、ぶどう栽培に関心を持った。小林氏はさっそく埼玉県園芸試験場(上尾市)に行って、ぶどう栽培の指導を仰いだ。しかし、園芸試験場の担当者は巨峰栽培は安定性がないから止めた方がいい、もしぶどう栽培を行うなら「キャンベラ」「ナイアガラ」の品種を植えた方がいい、またこれらの品種には苗木の助成制度もあると言った。しかし、小林氏は農業雑誌に「巨峰は露地でも栽培できる」との記載があり、どうしても巨峰栽培をやってみたかったという。
2-12 小林氏(平成12年)