孵化した直後の蚕を一齢といい、これは体中を黒い産毛で覆われていることから毛蚕(けご)と呼ばれる。その後、桑を食べて成長し、一回目の眠(みん)に入る。眠は脱皮の準備期であり、脱皮の約一日前になると桑を食べるのをやめて動かなくなる。その状態が眠ったように見えることから、眠と呼ばれた。蚕は四回の眠を繰り返し、脱皮のたびに体重と体長が著しく増加する。その成長過程は、一回目の初眠を起きると二齢、二眠を起きると三齢、三眠を起きると四齢、四眠を起きると五齢となり、五齢の体重は孵化直後の一万倍以上に達する。そして、五齢となって約一週間目には繭を作りはじめるのである。