蚕座に溜まった蚕糞や残桑を取り除く作業を、ウラ取りという。蚕糞や残桑が溜まると蚕座は湿り、これが原因で蚕が病気にかかる。そのため、眠に入る前には必ずウラ取りを行い、それ以外も逐次状態を見ては行うように心掛けた。特に、壮蚕は食欲が旺盛となって蚕糞や残桑がたくさん出るので、毎日のようにウラ取りが必要であった。
ウラ取りの方法は、蚕座にカイコアミを被せて桑の葉を散らし、蚕が網の目を潜って桑の葉に食いついたところを網ごと持ち上げて別の蚕座に移す。そして、汚れた蚕座を掃除した。
眠に入る前には、ウラ取りと併せて蚕座にヤキヌカを振り、湿気を除去した。ヤキヌカは籾殻(もみがら)を黒焼きにしたもので、これを振ることによって湿気が吸収され、同時に消毒の効果もあった。また、ヤキヌカのほか石灰を振ることもあった。