施肥は、晩秋のカンゴエと翌春のハルゴエの二回である。一一月には、桑の枝を稲藁で束ねてから根元に肥料を施し、畝間の土を鍬でサクって肥料の上へ被せた(図8)。ハルゴエは、春蚕の終了後に施された。春蚕では、桑を株の近くから枝ごと切るので、その後の成長に肥料が必要とされたのである。
図8 施肥と土寄せ
肥料には、大豆のマメガス、イワシのシメガス、マヤゴエが用いられた。マヤゴエは、厩舎の敷藁を発酵させた堆肥である。また、昭和二四年ごろには化成肥料が普及した。
肥料を施す際には、併せて草取りも行われた。桑の周りに生える草を鎌で掻き取って根元に寄せ、その上に土を被せると草が繁茂するのを防ぐことができたのである。この作業を草伏せといった。
桑の畝間は四尺くらいあるので、ここにジャガイモやマメ(大豆)などの間作を栽培した。