籠は縄文時代前期にはすでに作られていたことが、福井県三方町の鳥浜貝塚の出土品などから分かっており、その歴史は数千年に及ぶ。籠は暮らしの中で身近な道具であり、苗籠など農業に用いるもの、ビクなど漁撈(ぎょろう)に用いるもの、ミソコシザルやヒラショウギなど食生活で用いるものなどがあった。さらに大正末期から隣接する白岡町で梨栽培がさかんになり、昭和二〇年代まで出荷用の梨籠の需要が急速に拡大したが、戦後ダンボール箱による出荷が主流となり、梨籠は作られなくなった。また、プラスチックなどの普及によって、竹製品にかわる安価な商品が市場に出回るようになり、籠の需要は減少の一途をたどり、職人の数は激減した。