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 竹は生えてから三年目のものが加工しやすい。今年生えた竹は柔らかすぎ、三年を超えた竹は硬すぎて適さない。三年目の竹は白っぽい粉がうっすらと吹いていて、硬そうな印象がある。良い竹を見極めるにも経験が必要である。竹を切るのに適した時期をキリシンといい、一一月過ぎの一霜、二霜降りたころのものを用いる。キリシンの竹はいつまでも虫がつかず、きれいで丈夫な製品を作ることができる。そのため、その時期に近所の農家から一年間に使う竹を入手し、自宅の畑などに保管していた。竹は地元や下野田(現白岡町)のものが素性がよい。多く使われる竹の品種はマダケ(真竹)で、梨籠とヘリマキはモウソウダケ(孟宗竹)を使った。
 竹を切る時はタケヒキという目の細かいのこぎりを使った。切った竹は枝葉をざっと落としてからリヤカーで運搬した。リヤカーの荷台に竹の枝葉を敷き、クッションのようにしてその上に竹を根元の方と先の方を互い違いにして紐で縛った。昭和初期には運搬の際に国道や県道を通るときは警察に届け出が必要であり、さらに五メートル以上の竹を運ぶときは赤い旗を立てることが義務付けられていた。竹はどんどん切ったほうがよいので、現在では「家の竹を使ってください」といってくれる人もいる。切った竹はすぐには加工せず、一日たってから割る。

図9 籠の部分名称