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 カンナかけをあらゆる工程で行う桐箪笥作りでは木釘であることが必須である。もしも鉄の釘を使うとカンナの歯がこぼれてしまうのである。中でも千葉県柏市豊四季で生産されたウツギの釘は堅く、色も白く、桐に似ているので目立たなくてよい。ウツギの釘は吸湿性があり、水分があると重くなり、乾燥していると軽くなるため目方で買うのではなく桝で計って購入した。釘の長さは三寸、二寸五分、二寸、一寸五分がある。三寸はアシなどの最も厚みのある板、二寸五分と二寸はテンイタとガワイタ、一寸五分は引出のソコイタを止めるのにそれぞれ用いる。ウツギの釘は使う直前にホウロクで焦げ付かないように箸で炒りながら水分を飛ばして、堅くしてから使う。炒らずに使うと打ったときにグニャッと曲がってしまう。また、一度にたくさん炒っておくとすぐ吸湿するため、使う分を少しずつ炒るようにした。

2-37 ウツギの釘を炒る