一棹に使う桐は木目の粗さがおおよそそろっていることが理想で、そのような材をそろえてから木取りする。昭和三〇年ころから電動ノコギリが普及したため、容易に直線に切ることができるが、それ以前はナタで切ってから、コバ(板の側面)にカンナをかけたので時間がかかり、一棹分の木取りに一日を要した。現在の桐箪笥は引出が多いので、機械になったとはいえ木取りには時間がかかる。また、現在の桐箪笥は桐の節があると商品価値がさがるため、節を避けながら、できあがりの寸法や木目などを考え、無駄なく効率よく木取りするのも職人の腕の見せどころである。以前、大量に桐箪笥が生産されていたころは、節の部分も木取りして、あとで節は彫って取り除き、他の桐材を埋め込んで使用した。
桐箪笥に用いる板は例えばテンイタなら三、四枚の板を組み合わせて作るため、木取りしながらあとで張り合わせる板同士のコバに印をつける。
2-38 木取り