板焼きとは木取られた板の反りやゆがみを火力によって直すことで、火であぶると桐は柔らかくなるという性質を利用している。ハギレやカンナくずを火鉢にくべて火を起こし、板を一枚ずつ火にかざしながら曲がりをなくす。一棹分で二、三時間かかる。三分から四分の薄い板は反りの両側を遠火であぶり、膝に当てて手の力で直すが、厚い板は手の力では直らないので、柱に打ち付けてあるサンにかけ、高さ一〇センチメートルくらいの枕木を支点にして体重をかけて直す。ねじれは板の対角線に力を加えて直した。板焼きすると黒い煤がつくが、あとで削るので問題はない。火を使うこの作業は夏は暑くてたいへんなので、朝食の前の涼しい時間帯に行った。板焼きに使用する火鉢は養蚕に用いられた火鉢で、移動しやすいように車輪をつけた。
2-39 板焼き