古くなった桐箪笥はカンナを掛けて削り直すと、新品同様になる。これを削り替えという。削り替えでは扉や引出などをはずして、一つひとつカンナを掛け、全体にヒトカンナ掛けるようにした。昭和二〇年ごろの桐箪笥は扉が額縁のものが多いが、これらはすべてあとで削り替えできるように接着されておらず外すことができた。また、引出のソコイタに隙間ができていればハギイレをした。ハギイレは隙間より少し厚めに切った桐板を叩いて薄くしてから糊を付けてはめる。そこに水気を加えると叩いた桐が膨らみ、ピシッと締まる。削ったあと、蝋(ろう)を引出の内外に塗り、滑りをよくする。