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井戸屋

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 宮代町で井戸屋といえば、それは突き井戸を掘る職人を指す。
 西原の上原アサ家では、アサ氏の夫の進氏が昭和二三年に井戸屋を開業した。進氏は、杉戸町の親方に弟子入りをして突き井戸掘りの技術を習得し、アサ氏を嫁に迎えた二年後に独立をした。杉戸町の親方は、春日部の井戸屋「川久保」で修業を積んだという。
 井戸掘りは進氏とアサ氏の二人で行われ、百間や須賀はもちろんのこと杉戸町、春日部市、幸手市にも掘りに行った。陸田の最盛期であった昭和三九年には、方々から井戸掘りを頼まれて手が回らず、道具一組を新たにそろえて働き手を雇った。昭和四〇年ごろには井戸掘りと併せて水道工事も行うようになり、四一年からは水道工事業一本となった。
 以下、上原家で行われた突き井戸掘りについて、アサ氏(大正一一年生)からの聞き取り調査をもとに紹介する。