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それぞれの職人魂

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 職人のあいたでは、「技術のある者は商売下手」「技術のない者は商売上手」といわれてきた。職人は技術を売る商売であるが、その売り方は人によって異なる。
 初代春吉氏は昔気質の職人であり、折箱を作るにはあくまで伝統的な材料と技法にこだわった。そのため、客から「折箱の蓋を紙にしてくれ」といわれても断じて応じなかった。二代目の勇氏は、こうした春吉の職人魂を理解しながらも、現代の需用に合わせて臨機応変に対応することを心掛けており、そうすることで折箱の文化を守っている。