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折箱屋の客と多忙期

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 知久家にくる折箱の注文は関東一円に広がるが、現在はその九五パーセント以上が業務用であり、料理屋、菓子屋、魚屋などの業者から注文がくる。個人で注文する「素人の客」はごくまれである。
 折箱屋は寒い時期が忙しい。理由は、結婚式、七五三、正月などの行事が寒い時期に集中し、そのときに赤飯や料理を詰める折箱が売れるからである。一方、夏は行事が少なく折箱屋は暇になる。