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澱粉糊

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 笹折や杉折の糊づけには、粳(うるち)米を原料とした澱粉糊が用いられる。初代春吉氏は自ら糊作りを行っており、ノリメシ(糊飯)と称する糊用のご飯を炊くには必ず土鍋を用いた。鉄鍋であると米の芯が残り、滑らかな糊ができないからである。竃に土鍋を掛けて粳米を炊き、これを毛布に包んで藁のオヒツイレに入れ、半日くらい保温してから糊に練った。糊飯は非常に滑らかで、食べても十分においしいものであった。子供は、余った糊飯を食べるのを楽しみにしていたという。
 勇氏の代には澱粉糊を購入するようになり、これは、政府備蓄米の古米を原料に作られたものである。