桶と樽の外見の違いは、樽にはカガミ(蓋)がついていることである。また、製作方法の違いは次のようである。
①桶は柾目で作るが、樽は板目で作る。
②桶の底板はコバが直角だが、樽はコバをとがらせてガワに食い込むようにする。
③カガミは「四分のチリ」といって、ブンマワシで丸を描くとき、半径に四分を加えた寸法とした。これにより直径で八分だけ実寸より大きくなり、こうすることで隙間のないカガミになる。
④樽にはカガミがあって中が見えないので、内側にはカンナをかけない。
これらの製作方法の差異は桶と樽の用途の違いによるものである。つまり、桶は水を汲むときに使用するなど使用時間が短いが、樽は醤油や味噌を長期に貯蔵するために用いるものなので漏れないようにしなくてはならない、また桶はコネハンダイのようにうどんなどをこねるのに用いるため、桶の内側が滑らかであることが求められる。