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藍染め

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 紺屋は本来藍染めの職人を指すもので、藍の染液で紺色を染めることから紺屋の名が付いた。
 藍染めには糸染めと布染めがあり、糸は木綿と絹のいずれも染めた。また、布染めは綿布が中心で、最も多かったのは印半纏の染色である。そのほか、紺、浅葱、京花の無地染めや中形染め、唐草文様染めなどがあった。
 藍染めの仕事が最も忙しくなるのは、冬季であった。理由は、多くの農家が木綿糸の染色を頼みに来るからである。昭和初期までは自家用の機織りが盛んで、農家では稲の脱穀調整が一段落すると綿から木綿糸を紡いで紺屋に染めてもらい、これでジジマ(地縞)や紺無地を織って野良着やふだん着を仕立てた。また、冬季には商店主や大工、鳶などの職人が印半纏の染色を頼みに来た。印半纏は正月に合わせて新調され、商店ではこれを仕着せとして従業員に贈ったのである。