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藍染めの技術

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 藍の染液を作ることを「監を建てる」といい、その方法は、砕いた藍玉と石灰、苛性ソーダ、麬、水を藍甕に入れて撹拌し、温めて発酵させる。藍甕は四本が一組で、これをヒトツボといい、甕場には全部で一〇ツボほどの藍甕がいけられた。ヒトツボの中央には火壺が掘られ、この中でオガクズを燃して藍の染液を温めた。藍甕をいけるには、粘土質の土が必要である。関根紺屋のある中島は粘土質の土壌であり、藍甕をいけるのに適していたという。
 藍建てはヒトツボ単位で行われるので、藍の濃さはヒトツボごとに異なる。そこで、染める際には薄い藍から濃い藍へと順に移していき、しまいに最も濃い藍に浸して濃紺色を染めた。
 印半纏の綿布を染めるには、大紋、腰字、衿字の糊づけをしてから伸子(しんし)を打って畳み、藍甕に浸して染める。これを水で濯ぐと、糊をつけた部分が白く染め抜かれた。糊づけは専門のヌリバ(塗り場)に出すことが多く、百間の井上染物店では杉戸町清地の渡辺ヌリバに頼んだ。中島の関根紺屋では、自ら糊づけを行ったという。