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オソナエ(お供え)

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 正月の供え物として、象徴的なものはオソナエであろう。神棚に供えられたオソナエに神聖なものを感じることができる。オソナエとは新たな年を迎えるにあたって、一年間の生命力の補強を意味するものであるといわれている。オソナエは屋内の神様や床の間、氏神様、仏壇などに供えられる。一番大きなものは歳神様に供える家が多い。また、床の間にまとめて一五組のオソナエを供える家もある。三一日に供える「一夜飾り」を嫌い、下げるのは、一四日の繭玉団子(まゆだまだんご)と交換にしたり、一五日に小豆飯と交換した。一月二〇日をオソナエクズシといい、オソナエを雑煮にして食べた。
 逆井のある家では、オソナエは餅を搗き始めて臼がある程度きれいになったころに搗く。四~五臼搗いてからオソナエを作る。オソナエは大神宮様(三組)・床の間(三組)・仏様・オエビス様・荒神様・井戸神様・氏神様にそれぞれ一組ずつ供える。オソナエはオツイタチの朝に年男が上げる。

3-3 正月の供え物(川島 O家)


3-4 正月の供え物(東粂原 K家)


3-5 正月の供え物(本田 H家)

 内野のある家では、オソナエは二臼目に搗く。これは一臼目は臼が冷たく餅がよく搗けないためで、オソナエは臼が温まった二臼目に搗く。オソナエは全部で九組作り、一番大きなものは歳神様に供える。以前はこの他にも床の間にも、半紙を敷いて六組のオソナエを供えたので、一臼全部がオソナエであった。
 辰新田のある家では、オソナエは元日に鎮守様にお参りに行って来てから上げる。オソナエを下げるのは一四日のトリマチ正月のときで、繭玉団子と取り替える。正月にはオソナエ、注連飾り・松飾りを次の神様に上げる。大神宮様には不動様・伊勢神宮・氷川神社を祀り、三組のオソナエを供える。また、俵神様とは台所に俵を飾り、幣束を供えたものである。
 須賀上のある家では、オソナエは三臼目に搗き、全部で一五組作る。一五組の内訳は大神宮様(一組)、歳神様(一組)、恵比寿・大黒様(二組)、荒神様(一組)、よろずの神様(五組)、筑波神社(一組)、笠間稲荷神社(一組)、仏様(一組)などである。このうち歳神様には一番大きいオソナエを供える。このオソナエは一四日の繭玉団子と交替に下げる。
 中のある家では、オソナエは大神宮様・恵比寿様・仏様に供える。大神宮様には中央に大きなオソナエを供え、その両側に六組ずつの小さなオソナエを一二組あげる。一二組のオソナエは一年が一二か月だからである。
 本田のある家では、オソナエは七臼目に搗いた。七臼目に搗く餅は全部オソナエで一七組作り、大神宮様(六組)・歳神様(一組)・荒神様(一組)・恵比寿様(一組)・仏壇(一組)などにあげる。オソナエは一四日の繭玉団子と交換に下げ、割って焼いて食べたり、油であげて食べた。