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正月飾り

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 正月の準備として大切なものに注連縄(しめなわ)作りがある。この注連縄はオカザリ(お飾り)、カミカザリともいわれ、年男が作る。注連縄に使用する藁(わら)は稲刈のときから、青くてきれいな稲藁を用意しておく。注連縄はその家で祀っている神様の数だけ作り、暮れに神社から配られるシデ(紙垂)を垂らす。注連縄は神様によってハッチョウジメ(八丁注連)、ゴボウジメなどがある。ハッチョウジメは玄関、荒神様、ゴボウジメは井戸神様などの屋外の神に飾られる。お飾りは三一日に飾る一夜飾りは嫌うので、その前に飾り付けておく。ほとんどの家では、三〇日までに飾った。
 東のある家では、暮れに神主さんがカマジメといって、注連飾り、幣束、ミソカッパライなどを持って来てくれる。荒神様と稲荷様にはハッチョウジメを飾る。ハッチョウジメは家で採れたきれいな藁で編んだ。注連縄は毎年取り替え、古いものは下げて、稲荷様の神木に縛り付けておく。注連縄の飾り付けは一夜飾りはよくないといい、三〇日までには飾っておく。

3-6 正月の飾り作り(内野 N家)


3-7 正月の飾り作り(東 I家)

 西粂原のある家では、注連飾りは藁、ゆずり葉、ミカンなどを用いて作った。注連飾りは屋内のすべての神様に飾った。外すのは西粂原では七草の日の家もあるが、多くは一四日の繭玉団子と交換に取り替える。注連飾りはまとめて屋敷内の稲荷社近くの木に縛っておく。
 内野のある家では、注連縄をお飾りといい自家製のものを使う。暮れに家で祀っている神様の数だけ用意する。古いお飾りを下げると母屋の北側の杉の木に結わき、初午のときに燃やした。歳神様の注連縄は一年が一二か月なので一二本の藁で作る。
 須賀上のある家では、カマジメ(半紙を切ったもの)は暮れの二八日に飾る。神主からカマジメをいただいてきて、飾り付けを行う。荒神様の八丁注連はコデ縄を自分の家でなった。荒神様のカマジメをツリエビスといい、ほかの神様の半紙と切り方が違う。
 山崎のある家では、一二月三〇日に神棚にカマジメ(御幣(ごへい))を前年のものと交換してあげる。また、荒神様にコデナワを編み、ハッチョウジメを飾る。また、門松もこのとき飾る。門松は家の玄関と屋敷神に飾り、初水を汲む台所に一本置き、これを水松という。

3-8 正月飾り(山崎 S家)


3-8 正月飾り(川島 O家)


3-8 正月飾り(東粂原 K家)


3-8 正月飾り(川島 O家)

 須賀下のある家では、注連縄のシデは日取りのいい日に身代神社の神主のところでいただいてくる。注連縄の飾り付けは三一日に飾る一夜飾りはいけないといい、二五日ころに飾り付けを行う。注連縄はかつては、自家製のものであったが、近年では藁がなくなったのでコデナワを買って来て作る。注連飾りを飾るのは、荒神様、稲荷様である。屋内の大神宮様、恵比寿・大黒様、歳神様、荒神様は幣束だけを飾る。
 本田のある家では、注連縄の幣束は身代神社の神主からいただいて来る。注連縄の飾り付けは三一日に飾る一夜飾りはいけないといい、二八日に飾り付ける。幣束を飾るのは大神宮様(七組)、恵比寿・大黒様(一組)、床の間(二組)、荒神様(一組)である。