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年男

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 年男とはその家の神祭りを司る人のことで、世帯主やその長男が行うことが多い。かつては、正月行事の一切を年男が行い、雑煮や正月の供え物も年男が作って供えた。しかし、近年では供え物を供えるだけの年男が多くなった。
 逆井のある家では、正月の供え物は年男が作って上げる。年男は初湯に入って身を清めてから供え物を上げる。年男は男の人が行い、人手がなければ子供でもやらされた。当家では神様の供え物を作るのは女の人だが、上げるのは必ず年男である。
 山崎のある家では、元旦には年男が家の神様にオソナエを上げる。また、雑煮(味付けしない芋と大根)を作り、お神酒と灯明を神棚に上げる。オソナエと雑煮をあげ終えてから、初詣に出かける。年男は大晦日から正月二日の夜まで歳神様の前で寝る。
 辰新田のある家では、年男は家の旦那が行う。年男はオツイタチ(朔日=一日)の朝四時にすべて新しい衣装で身代神社に参拝に行き、その後神様に供える雑煮を作って上げる。正月の神様の供え物は、年男が上げる。
 本田のある家では、年男は家の若い者か旦那が行う。正月三が日の神様に供えるものは年男が作った。かつての年男は、三が日の間は神棚の前で寝た。
 和戸のある家では、正月の供え物は朝は雑煮、夜はご飯を年男が上げる。供え物はかつては七草まで上げていたが、最近は三日間だけ上げる。家によって年男は家族とは別に神棚の下に床を敷いて寝る家もある。