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初湯

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 初湯とは正月初めて入る風呂のことで、年男が一番初めに入る。この初湯を隣組や近所の数軒でお互いに入りに行ったり来たりすることが行われていた地区もある。
 逆井のある家では、正月三が日に隣組で初湯を立てて、お互いに入りに行ったり来たりした。当家の組では、八軒が交代で風呂を立てた。初湯は除夜の鐘が鳴り零時を過ぎてから立てる家もあり、外に出ると寒いので大きな声で「オーイ、オーイ」と呼んだ。
 内野のある家では、年男は一日から三日の間、午前零時を過ぎると初湯に入って身を清めてから、神棚に供え物を上げる。その後、午前二時ころに姫宮神社にお参りに行く。初湯は両隣のイモチ(分家)の家と三軒で交代で立てて、お互いに入りに行ったり来たりした。この行事は大正年間まで行われ、その後は個人の家で風呂を沸かすようになり、次第に行われなくなった。
 須賀上のある家では、正月初めて入る風呂を初湯といい、年男が最初に入る。年男が入らなければ女たちは入れない。初湯のときには、暮れの餅搗きにおろした手拭いを使う。