3-21 ケズリバナ(山崎 A家)
一四日にニワトコなどの枝の表皮をハナカキなどで削って、巻き上げたハナ、ケズリバナを作った。ハナカキとは小刀の先が鉤に曲がった独特のもので、ニワトコの表皮を剥(は)いでいきながら花のような飾りを作り、これを堆肥場に挿したり、家の神様に供える。この行事はこのニワトコのハナように稲の花が咲き、今年も豊作でありますようにとの願いが込められた予祝行事である。堆肥場のハナは一番大きなもので、竹を四つ割にして、その先にハナを付けたものである。
本田のある家では、小正月にニワトコの皮を削りハナのように作り、竹の先に刺して反るようにして堆肥場に挿して飾った。
内野のある家では、正月一五日にニワトコの枝の先方を薄く削ってハナを作る。このハナは、一五日の小豆粥と一緒に正月のお飾りを飾った神様に供える。この行事は、「正月にハナ(花)が咲いて、その年に穀物が実るように」との願いを込めた予祝行事である。