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小豆粥

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 正月一五日の朝、一四日に神様に供えた繭玉団子を入れた小豆粥を作り神様に供える。この行事は小豆粥、小豆ゲエなどと呼ばれる。小豆粥の中にニワトコのカイバシを挿して供えたり、箸を小豆粥の中で掻き混ぜて粥を付けたものを供える家もある。カイバシのことをカユバシ(粥箸)・カユカキ棒ともいう。小豆粥を作った釜の洗水を屋敷の周りに撒くと、蛇や魔物が入って来ない、火事にならないという言い伝えもある。
 内野のある家では、一五日の朝、前日に飾った繭玉団子を入れた小豆粥を作る。この小豆粥の中にニワトコの枝を二〇センチメートルくらい切り、先の皮を剥いて四つに割ったカユバシを入れて掻き混ぜ、粥を付けたものを歳神様に一膳供える。このカユバシを苗代を作るときに田の畔に挿し、そのまわりに籾を撒くと豊作になるという。小豆粥を作った釜を洗った水をヤカンに入れて屋敷の周りに撒くと蛇が入らないという。また、小豆粥を食べるときには、熱くても息を吹きかけて食べるものではないという。

3-22 カユカキ棒(内野 N家)[1]


3-22 カユカキ棒(内野 N家)[2]

 須賀上のある家では、一五日の朝、繭玉団子と餅を入れた小豆粥を作った。小豆粥を作る釜を洗った研ぎ水を家の周りに撒くとナガモノ(蛇)が家に入らないという。また、このときは研ぎ水をヤカンで家の周りに撒いた。小豆粥の中にカユバシを入れ掻き混ぜ、神様に供える。カユバシとはニワトコの枝の半分を削って、先を十文字に割って小豆粥を付けたものである。粥の付いた方を神棚に向かって手前にして供える。このニワトコの木は、春一番に芽が出る初芽の出る物として縁起のいい植物である。小豆粥を供える神様は、正月の供え物を上げる大神宮様・筑波神社・歳神様・恵比寿様・荒神様・井戸神様・俵神様などである。小豆粥を食べるときは、熱くても吹いて食べてはいけない。吹いて食べると「福を吹き飛ばす」という。
 東粂原のある家では、小正月のカユカキ棒をとっておいて家の者が旅立つときに燃すと、その人は無事に帰ってくるという。