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盆の供え物

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 盆の期間は、一三日の夕方から一六日の送り盆までであるが、家によっては一五日に送る家もある。迎え盆の一三日の夜から、送り盆までは毎日三度三度新たに供え物が盆棚に上げられる。盆の間には、盆棚と仏壇の本尊様、無縁様の三か所に朝、昼、晩と三度三度供え物を上げる。盆棚と本尊様は膳に供え、無縁様は芋の葉の上に供える。盆中は毎朝、ナスを賽(さい)の目に切って蓮の葉にのせて盆棚に供え、そばにはいっぱい水を入れたどんぶりと花のついたみそはぎを束にして結び添えておく。朝はぼた餅、昼はうどん、晩はご飯が普通である。このときの箸は、おがら(麻の茎)で作り、小さなお膳にのせ盆棚に供える。次に一般的な盆中の供え物について記述する。
 一三日の夜は、お茶をあげ、うどん、切り昆布、かぼちゃを上げる。
 一四日の朝は、ぼた餅(あんこのぼた餅)と糸昆布とかぼちゃで煮たもの、昼はうどん、夜はご飯にかぼちゃ、かぼちゃ汁、切り昆布を上げる。
 一五日の朝は、ぼた餅(あんこか黄な粉のぼた餅)と糸昆布とかぼちゃで煮たもの、昼はうどん、夜はご飯にかぼちゃ、切り昆布を上げる。
 一六日の朝は、小豆飯と糸昆布とかぼちゃで煮たもの、昼はうどん、昼ごろまでに団子を作って上げ、午後三時ころにはお盆様を送り出す。送り出す前にお茶を出す。この時に小麦まんじゅうや土産団子を作る家もある。

3-44 盆の供え物(内野 N家)


3-45 盆の供え物(辰新田 H家)


3-46 盆の供え物(辰新田 T家)

 盆棚に供える膳の箸は、おがらを折った箸で三度三度取り替える。
 逆井のある家では、一三日の迎え盆でお盆様を迎えると、すぐにお茶・お酒を上げる。お酒を上げるのは酒の好きな先祖様がいたからである。この日の夜には、会席膳に五つの器を用意してご飯を四膳、切り昆布、かぼちゃのおかずを一膳上げる。盆棚の下の無縁様にも盆棚に上げたものと同じものを芋の葉の上に供える。このときには、芋の葉の上にかぼちゃとご飯を上げる。一四日の朝は、黄粉のぼた餅を四つの器に供え、真ん中の器におしんこを上げる。無縁様には芋の葉にぼた餅を少しちぎって上げる。昼はうどん、夜はご飯を上げる。一五日の朝は、寿司などの変わり物を供え、昼はうどん、夜はご飯を上げる。一六日の朝は、ぼた餅か小麦まんじゅうを供える。昼はうどんを上げて、午後三時ごろには土産団子とお茶を供える。
 内野のある家では、一三日の迎え盆のときには盆棚に果物や野菜とお茶を供える。この日の夜にはご飯、切り昆布、かぼちゃの煮物を上げる。一四日と一五日の朝は、黄粉のぼた餅、昼はうどん、夜はご飯と切り昆布、かぼちゃを上げる。一六日の朝は、小豆飯、昼は小麦まんじゅうを上げて、土産団子を供えてからお盆様を送る。盆の供え物は盆棚とガキドウ様、オルスイ様(お留守居様)の三か所に上げる。ガキドウ様とは成人しないで亡くなった人を祀ったもので、盆棚の内側に供え物を一膳上げるが外からは見えない。オルスイ様とは仏壇に残っている仏様のことで、供え物は仏壇に二膳上げる。お盆様をお参りするときにはナスを賽の目に切って器に入れたものと、水を入れた器を用意し、里芋の葉の上に乗せ、束ねたみそはぎで水をつけて拝む。