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二百十日

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 二百十日は立春から数えて二一〇日目をいい、新暦の九月一日ころである。二百十日を無事に過ぎると「アレビ(荒れ日)の祝い」といって祝った。
 東では、立春から数えて二一〇日目をいう。このころは台風の上陸も多く農作物などに大きな被害を及ぼすので、嵐除けの行事が行われる。稲の花盛りの時期を台風から逃れ、静かに荒れないように願う行事である。二百十日にはススキ・御神酒・うどん・果物などを供えた。この日は仕事は早く切り上げ、ススキをとってきて上げた。
 逆井では、地区の者が集会所に集まって、台風が来ないで二百十日が荒れないで済んでよかったと御神酒を上げて祝った。この日、逆井のおばあさんたちが集会所に寄って、お昼を食べて一日過ごす。このときにはほかの組の人とも話をすることができる。
 辰新田では、八月下旬に地区の人が公民館に集まって、二百十日の前祝いを行う。掛け軸を掛けて線香を上げ、御神酒をいただく。これを二百十日のオトキともいう。
 須賀上では、八月二七日に二百十日の観音経オトキを集会所で行う。観音経オトキは二百十日の嵐除けの行事で、以前は真蔵院で行われた。観音経といっても、現在では観音経は行わないでオトキで集まるだけである。
 須賀下では、二百十日が静かに過ごせることをアレナシ正月という。ちょうどこのころは台風の季節でこの日が穏やかに過ごせるように二百十日の前日に集会所で観音経を上げる。これを二百十日のマエヨミ(前読み)といった。二百二十日も二百十日と同じように、二百二十日の前日に集会所で観音経のマエヨミを行った。