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十五夜

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 旧暦の八月一五日の夜を十五夜、お月見という。同じく、旧暦の九月一三日の夜を十三夜という。この行事は現在では一月遅れで、それぞれ九月一五日、一〇月一三日に行う家が多い。中には旧暦の暦日で行う家もあった。十五夜は作神であるという。
 十五夜には月が見える縁側に小机やテーブルを出し、お盆の上にススキ・御神酒・柿・梨・団子(月見団子という)・ぼた餅・十五夜花などの供え物を上げる。このとき、縁側に箕を置き、その中に供え物を上げる家もある。十五夜の供え物は丸いものが良いと黄粉のぼた餅・柿・梨・団子などの丸い物を供えた。供え物の数を五個、一五個と五の倍数になるように供える。月見のときには「供え物は盗まれた方がよい」という。子供たちは近所の家から供え物を取って歩いた。また、月見は片月見はよくないと、十五夜を祝ったら必ず十三夜も祝うものであるという。

3-50 十五夜(須賀下 H家)

 辰新田のある家では、九月一五日に十五夜の行事を行う。十五夜には縁側に机を出して、月が見えるようにしてうどん・柿・団子・ススキを供える。うどんはかつては、手打ちのものを上げたが、その後ヒボカ(ヒボカワ・ひもかわ)の乾しうどんを供えるようになった。団子ができないときには里芋・柿を上げる。これらの供え物の数は特に決まっていないが、柿(ツルノコ)は十五夜だから一五個、梨は五個、トマトは三個上げる。十五夜の供え物は丸い物が良いという。かつては、縁側の外に縁台を置いて膳の上に供えることもあった。この時期は農作業が忙しかった。十五夜の供物の言い伝えとして、「十五夜(お月様)の供え物は、男が食べるもので女たちが食べるものではない」という。
 須賀上のある家では、月見の行事は、二十五夜が八月二五日、十五夜が九月一五日、十三夜が一〇月一三日、十日夜が一一月一〇日にそれぞれ行われる。これらの日にはススキと一緒に季節の成り果物である栗・柿・梨などを床の間に供える。