墓地の所在については、檀家となる寺と関連しながら大きく三つに分けることができる。
まず、第一は檀家になっている寺にほとんどの家の墓地があるという事例である。若宮、道仏、中須、宿、川端が挙げられる。この場合、自分のムラに檀家となる寺のある場合と、他のムラに自分のムラのほとんどの家の檀家となる寺がある場合とがある。また、以前はイッカと呼ばれる一族の墓地もあったという。
第二の事例として見られるのが、自分のムラで管理している堂や庵があり、これに付属する墓地にあるという事例がある。また、堂や庵がなく共同墓地という事例もある。柚の木、内野、松の木島、西原、中寺、川島、蓮谷がこの例にあたる。
第三の事例としては、墓のあり方がムラ内で様々であるという事例である。西の古くからの家は、ほとんどが西光院の檀家で、墓は西光院にある家と、西に所在する弥勒院にある家が半々である。弥勒院は、本尊は不動尊であり、『風土記稿』によると前原の宝生院の門徒であるとされる。弥勒院の墓地には、西の半分と、中寺、東、姫宮の家の墓もある。一方で、前原の神外坊に近い家では神外坊に墓があり、西原から出た家は、墓が地蔵院で寺は宝生院である。藤曽根の古くからの家は、西光院の檀家がほとんどで、このほか宝生院、遍照院の檀家の家もある。墓は、西光院にある家、中寺の観音寺にある家、西の弥勒院にある家に分かれている。逆井の古くからの家は、檀家となっている寺もまちまちであるが、墓もこの檀家となっている寺の単位で、その寺の墓地にある家とムラの共同墓地にある家に分かれている。
なお、檀家となる寺との関係を除くと、家の近くに個人墓地を持つ家も多くあり、特筆される。