国納の八河内では、三月の初めての午の日を初午といい、この前日の晩から、稲荷神社に子供たちが籠った。このことを初午の籠りといった。以前は、神社の中が八畳くらいあったので、この中に布団を持ち込んで一晩明かしたのである。参加する子供は小学校一年生から高等科二年生までの男児だった。この行事に先だって、子供たちは、ムラ中を歩いてお金をもらって歩いた。このお金のことを「アブラッコ」といった。ムラだけでは戸数が少なく、お金があまり集まらないので、同じ国納村だからといって国納までもらいに行った。このお金は、籠ったときに食べる菓子を買うのに使ったものである。初午の朝には、各家で赤飯を作り、重箱に入れて神社に供えたものである。この赤飯を、籠っていた子供たちはいただいた。なお、この行事は昭和三〇年代になくなってしまった。