ビューア該当ページ

藤曽根のお籠り

278 ~ 279 / 772ページ
 藤曽根では、初午のお籠りといい、初午の日の前の日には、ムラの男の子供たちがお籠りを行ったものである。この行事は、家に氏神様として稲荷様を祀っている家で行われた。この行事に先だって、子供たちは、各家を廻って賽銭を集める。このときには、絵馬を首に下げて廻ったもので、各家につくと「稲荷様のカンケ、くらっせ(下さい)」といったものである。各家では二~三銭くれたものである。このお金で、豆腐や油揚げ、南京豆などを買って稲荷様に供えた。また、御飯も供えたが、これはお籠りをする家で出してくれた。お籠りには火鉢などを持ち出して、温まりながら一晩、子供たちだけで明かしたものである。昭和一〇年くらいまで行っていた行事で、現在はない。