百万遍は、大きな数珠を一〇数人ほどで持ち、順送りにするように数珠を回しながら「南無阿弥陀仏」を何度も唱える行事である。この行事は、念仏を唱えることから、追善供養行事と考えられがちであるが、町内ではむしろ悪疫退散の行事として行われている事例が多い。川島では八月六日に無病息災や悪疫退散のために、須賀上では四月上旬に子供の流行病を鎮めるために、中寺・藤曽根では四月九日と七月一七日に悪魔除けのために行われている。このほか、山崎では、悪魔祓いで行われるお獅子様の行事で、後述のように百万遍の数珠を持って歩き、各家の庭で数珠を回したという。また、中須では九月一日の二百十日に観音行といいながら百万遍と同じ内容の行事を行っている。
4-13 百万遍(川島)
一方で、金原の百万遍は、彼岸に千地蔵参りとともに行われ、典型的な追善供養行事である。