お獅子様は七月二〇日の姫宮神社の祭礼の翌日である二一日に行う。この行事は、悪い病気が入って来ないように行うもので、このお陰か、松の木島には伝染病などあまりはいらなかった。「獅子の三日正月」といい、一九日から二一日までの三日間休んで準備して、祭りを行ったのである。お獅子様の当日は、まず集会所に集まり、神主に拝んでもらった後、出発する。以前は三軒一組の当番のうち、一軒の家をヤドにし、このヤドの家から出発した。お獅子様の一行の中心は、天狗様とお獅子様で、天狗様役の者は天狗の装束をつけて幣を持ち、そのほかの者はパッチ一つで歩く。各家では、一行が座敷に土足のまま上がり、土間に降りるような形になる。このときに、家の者の頭の上で、獅子の口をパクパクとさせ、天狗様が幣で祓う。家の中を通り抜けると、一行は休憩して、各家で用意してくれたものをいただく。御神酒やきゅうりもみ、てんぷら、アラレなどを出したものである。全部の家を廻り終えると、ムラはずれの古利根川の縁で、神主にお祓いをしてもらい、三本締めの手締めをする。その後、天狗様が持って歩いた幣を、古利根川に流して終了になる。その後、集会所(以前はヤド)に行って宴会(御神酒という)を行う。お獅子様が終わって一週間後くらいに、当番がお獅子様の汚れ物の洗濯を行う。この日を洗濯正月といい、ムラ中の各家で仕事を休んだという。現在は、当番だけで行っている。
4-18 お獅子様(松の木島)