西原では、西原の鎮守である姫宮神社の祭礼の翌日の七月二一日(現在は近い日曜日)に、お獅子様といって獅子頭がムラ内の一軒一軒を廻る行事を行う。午前中に当番が集まって準備し、午後三時三〇分ごろから村廻りに出発する。以前は、出発の前に御神酒を飲んでから出発したという。一行は、先に二人で担いで太鼓を叩いて触れ回り、その後天狗様、お獅子様と続き、以前はこのほか百万遍の数珠を持って歩いた。天狗様は、面や袴など一通りの衣装があるので、これを当番の中の一人が着て扮する。また、御祓いの幣も持ち、各家で祓ったものである。お獅子様もムラ持ちで、以前は大尽の家で預かってもらっていた。獅子頭の下に唐草模様の風呂敷のような布が付いたもので、獅子頭を二人、風呂敷のような布を一四、五人で持ち、「ワッショイ、ワッショイ」といって廻る。各家ではお獅子様が土間まで入って、家の人の頭をかじる。全部の家を廻り終えると、ムラの外れまでいって拍手を打って終える。獅子廻りが終わると、オトキといって酒肴で一杯やった。以前は、出発する場所も、オトキをやる場所も大尽の家であった。