前原では、七月一二日にお獅子様を行う。近年では一二日に近い日曜日に行うようになってきている。お獅子様は、大人用の大きなお獅子様と子供用の小さなお獅子様があり、宝生院の釈迦堂に保管されている。
祭り当日の午後二時過ぎに、当番が中集会所に集まって出発し、ムラ中の各家を廻る。以前は釈迦堂から出発していたが、参加人数が増えたため、中集会所からの出発になった。先に子供の獅子が、その後大人の獅子が各家を廻る。それぞれ天狗一人が先頭に立ち、これに獅子を持った六人から八人の人が続き、大人の獅子の後には大太鼓一つと小太鼓二つがついて廻る。天狗は御幣を持ち、御祓いをする役割である。以前は、各家の座敷に敷物を敷いておき、その上を獅子の一行が土足のまま通り抜けて、悪魔祓いをしたものである。以前は、各家で団子や赤飯、小麦まんじゅうなどを振舞ったが、現在は時間もかかるので数箇所に休憩所を作るようになり、各家での振舞いは行われなくなった。また、座敷に獅子の一行が上がらなくなったので、玄関で家の主人が御祓いを受け、主人は獅子頭を持って部屋の中の大神宮様や仏壇などをお祓いして廻るようになっている。
ムラ廻りがすべて終了すると、最後に春日部市境の隼人堀川にかかる猫島橋に向かう。この橋の上から、天狗の持っていた御幣を川に投げ入れ、獅子頭を川面まで吊り下げるようにして降ろし、疫病をムラから追い出す。以前は天沼橋で行っていた。