おびしゃと呼ばれる行事は、埼玉県内では主として東部に広く分布する祭りである。おびしゃ行事は、秋から春の祭りであり、一年の農業の作柄を占う意味を持つ弓射の要素、年間の祭事を司る当番の交代式の要素、藁で造った大蛇や龍を作る要素、甘酒を造る要素、山盛りの飯を食べる要素などが行事の内容として挙げられる。
町内では、甘酒を造る要素を持ったおびしゃが比較的多く伝承されている。また、おびしゃという行事名となっているが、共同飲食のみ伝承している事例もある。一方で、若宮で行われる十五夜という行事では、山盛りの飯を食べる強飯式的な要素を持ち、また藁などで作る飾り物は、近隣の地域で行われる当番交代式で作る作り物と類似しており興味深い内容となっている。