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東粂原のおびしゃ

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 東粂原では、ムラの鎮守である鷲宮神社の秋祭礼が一〇月九日に行われる。この行事は甘酒祭りとかおびしゃとも呼ばれる。この祭りは、甘酒を造って神社に供えて五穀豊穣を祈る行事で、一〇月に入ると、ムラ中の家から米を一人一合ずつ集め、これに買ってきた糀を使って甘酒を造るのである。この甘酒を造ることを「甘酒をカク」といった。甘酒をカク場所は、一〇軒の当番の家のうち、家順でハナ(最初)の家である。この家をヤドといい、ヤドの家が狭いと、話し合って適当な家に替わってもらうこともある。甘酒は、前日の八日に米を蒸して、ハンギリという桶に入れ、糀を加えて発酵させるのである。ハンギリは、直径一メートル、高さ四、五〇センチの桶であったが、神社の火災で焼失してしまった。ハンギリに入れた米と糀を混ぜ、摂氏六〇度くらいのお湯を入れ、かき混ぜてから一昼夜経過した九日の昼ごろになると飲むことができるようになる。甘酒が出来上がると、リヤカーか何かでヤドから神社に運び、神前に供える。その後、神職を呼んで祭典を行い、終わると、当番が参拝者に甘酒を振舞う。このころには、あたらしい里芋が収穫できるので、芋とこんにゃくの煮しめも作って振舞った。

4-24 おびしゃ(東粂原)