金原では、ムラの鎮守である稲荷神社の祭りを初午に行い、この時甘酒を造る。この日には、稲荷神社に各家で藁のコモに豆腐を二丁くらい入れて供える。また、事前に当番の家で造っておいた甘酒を稲荷様の境内に置き、参拝者に振る舞った。この甘酒は、稲荷様の田んぼからあがる小作の米の一部を、糀と交換して造るものである。甘酒を造った当時は、当番が一〇軒くらいで、当番の家で造り、神社に運んで神主に拝んでもらった後に振る舞うのであった。男の人たちは、御神酒で宴会を行った。この行事は、第二次世界大戦後もいくらか行ったが、現在は行われていない。