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行基様

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 三月二日は行基様で、西光院で法要がある。これは天平勝宝元年(七四九)二月二日に入寂した西光院の開祖である行基菩薩の徳を偲んで行われるものであり、前日の一日の晩に法要を行い、一日から二日にかけての晩にお籠りをする。二日には午後、法要を行う。以前は、法要やお籠りは阿弥陀堂で行われていたが、阿弥陀堂が焼失後、西光院本堂で行っている。お籠りの参加者は、東、中寺、西、藤曽根、川端の当番の人で、以前は一晩過ごした。この当時は、酒、茶、菓子などを用意し、暖をとるための炭も持ち寄った。寺からは小豆粥が振舞われたものである。

4-27 行基様の掛軸(部分・西光院所蔵)

 このほか、西光院では、三月一日の夕方から二日にかけて、雹雷除けのお札を出す。これは、お籠りに参加しない西原、山崎、宿、道仏、台の越、町外では御堂(春日部市内牧)、慈恩寺(岩槻市)、並塚や才羽(杉戸町)などから受けに来るのである。お札を授与するのは、堂番を勤める家が二軒あり、この家がお札番をする。お札は二枚授与し、内一枚は苗代に立てると稲に虫がつかないとされる。
 逆井は、行基菩薩が西光院を後にして、逆井の渡しまできて休憩したという。そのとき、ムクの木の杖を地面にさしたまま出発し、このムクが根付いて大きくなった。逆井では、このムクの木を御神木として行基様を祀っている。この行基様では、縁日を二月二日とし、逆井の旧蓮谷村分の地区では、この日を縁日として集会所で宴会を行う。以前は近くにあるミセで飲み講を行っていた。