代参講のための集会を持つ事例では、いくつかの代参講で合同の集まりを持つ事例が多い。西原では、ムラで行われていた榛名講と石尊講、西原のほか山崎、姫宮、宮東に講員が拡がる三峰講があった。ムラで行われる講は、二月一日に万年講を開いて代参者を決めたもので、事実上ムラ付き合いの一つとなっていたという。柚の木では、榛名講、大山講、三峰講の三つがあり、それぞれ春先に代参したもので、三月二五日ごろにオトキを開いて、その年の代参者を決めるくじ引きをした。隣接する内野でも、三月一五日ごろにオトキを行ってその年の代参者を決めた。こうしたオトキには、白いご飯に酒、肴で祝ったもので、これが大きな楽しみであったという。藤曽根では、それぞれの講の代参者が代参から帰ると「お札配り」といって集まり、その場で翌年の代参者をくじ引きで決めていた。くじ引きは講ごとに行った。
4-32 石尊講オトキ(前原)
代参講のために、特に集まりを持たず、ムラの集会や行事の際に代参のくじ引きだけ行うという事例としては次のようなものがある。
西粂原には、榛名講、御嶽講、大山講の三つの代参講があった。これらの代参講の代参者は、正月が終わって行われた道普請で集まったときに、くじ引きをして決めた。ただし、西粂原では、耕地といわれる組ごとに代参者を二人ずつ決め、選出された耕地ごとの代参者が合同で代参するような形であった。
このほか、東と川端では、合同で代参講が行われていたが、やはり合同で行っていたお獅子様が終わったあと、御神酒と呼ばれる直会の際に翌年の代参者を決めるくじ引きを行っていた。また、中須では、春に代参が行われ、九月一日の二百十日の祭礼で集まった際に、翌年春の代参者を決めるくじ引きを行っていたという。川島でも、特にいつとは決まっていないが、観音行などで集まった際に、代参講の代参者を決めるくじ引きを行っていた。