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代参時期と方法

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 榛名講の代参は、四月ごろに行われるのが一般的である。山崎の榛名講の代参は、四月の桜の花の咲く時期であり、苗代を作る前に行ったといい、具体的にはその年の代参者の都合で決められた。また、西原の榛名講の代参は、三月末から四月ごろに行われた。苗代を作る前で四月八日ごろという。一方、地区によっては夏の代参という事例もある。沖の山の榛名講は七月末の代参であったという。
 今日では、代参をする際、自家用車を使って日帰りするのが一般的になった。しかし、以前は、バスや鉄道といった公共交通機関を使ったり、観光旅行会社の世話で用意された貸切バスを使ったりして、一泊程度の行程で代参に行っていた。
 公共交通機関を利用する場合、現在の東武動物公園駅から東武鉄道で伊勢崎駅まで向かい、伊勢崎駅からは高崎や前橋、渋川行きのバスに乗り換えて榛名神社に向かうのが一般的である。ただし、榛名神社に近い伊香保温泉に寄ることが多いため、帰路は渋川から大宮・春日部経由という事例もある。また、往路についても、春日部・大宮経由で高崎か渋川まで向かって神社に向かうという事例もみられる。
 山崎の榛名講の代参は、東武動物公園駅から東武鉄道に乗って伊勢崎まで行き、ここからバスなどで高崎を経由して榛名神社まで行った。若宮の榛名講の代参も、東武鉄道で伊勢崎まで行き、ここから前橋か渋川までバスがあり、さらに伊香保温泉まで登って一泊した。翌日神社に参拝し高崎に降りて大宮経由で帰村した。現在は自家用車で日帰りしてしまう。本郷の榛名講の代参も、東武鉄道で伊勢崎まで向かい、ここからバスで渋川に出て伊香保経由で神社に向かった。参拝の帰りには伊香保温泉に泊まったものという。柚の木の榛名講の代参も、東武鉄道で伊勢崎まで行き、ここからバスを使い高崎経由で神社に向かった。本来は神社の御師に泊まるものであるが、実際には伊香保温泉に一泊した。帰りは渋川に降りて帰村した。西原の榛名講の代参は、東武鉄道を使って春日部経由で大宮に出て、高崎か渋川から神社に向かった。渋川からは電車があった。
 一方、観光旅行会社の世話で用意された貸切バスを使った代参の事例も比較的多い。地区によっては、第二次世界大戦前から、こうした貸切バスでの代参を行っていたという。
 東粂原の榛名講では、第二次世界大戦前から観光旅行会社の世話でバスに乗って行っていた。また、西原でも、古くは鉄道を使って代参を行っていたが、昭和初期になると、観光旅行会社が仕立てたバスに乗って行くようになった。以前は御師と呼ばれる神職の家に泊まったものであるが、バスで行くようになってからは伊香保温泉に泊まるようになった。山崎の榛名講では、以前は鉄道やバスで代参をしていたが、昭和二〇年代から観光旅行会社が、百間地区の各地区の榛名講の代参者やその他希望者を募って、観光バスを仕立てて行くようになった。